社会人にとって、スーツは制服であり、毎日の勝負服ともいえる大切なものです。
しかしながら、何年も着ているとテカってきたりシワが取れなくなったりして見栄えが悪くなってしまいます。
このスーツはまだまだ着ることができると思っていても、周囲からは残念な気持ちで見られてしまうこともあるかもしれません。
スーツには寿命があり、寿命が来たら、どんなに愛着があっても買い替える必要があるのです。
一般的なスーツの寿命はどのくらいで、どのように寿命の到来を判断すればよいのか、寿命を延ばすためにはどうすればよいのかを紹介します。
一般的なスーツの寿命は?
一般的なスーツの寿命は夏物で3年、冬物で4年といわれていますが、この数字はあくまでも目安にすぎません。
きちんとお手入れをしていれば5年以上長持ちさせることもできますし、逆に、雑に扱っていてはすぐに傷んでしまいます。生地によっても寿命は変わってきます。
ウールの品質は繊維の細さで決まり、細いほど高価です。しかも、繊維が細ければ細いほどデリケートになるので、きちんとしたお手入れが必要になってきます。
せっかく高いウールのスーツを買うのですから、大切に着ていきましょう。
寿命を判断するチェックポイントは?
スーツの寿命を判断するためのチェックポイントは、大きく3つ、テカリ・シワ・ヨレです。
スーツのテカリの原因は、摩擦と圧着によって生地の表面の凸凹がなくなり、光を反射しやすくなってしまうことです。
スーツを着ていると、動いた際の摩擦や、座った際の圧着は避けることができないので、どうしてもテカリが出てきてしまいます。
ブラッシングやスチームアイロンを利用することで、ある程度はテカリを取ることができます。
しかし、お手入れをしても、どうしてもテカリを取ることができなくなれば、そのスーツはもう寿命です。スーツのシワもチェックポイントです。シワの残り方は生地によって違ってきます。
ウールはシワになりやすいものの復元力が高く、ポリエステルはシワになりにくいのですが、一度ついてしまったシワは取れにくくなっています。
どのような素材であっても、正しいお手入れをしてもシワが取れなくなってしまったら、寿命なので買い替えが必要になります。
特に、背中と膝の裏は、シワがついていないかよく注意しましょう。椅子に長時間座っていると背中にシワができやすいのですが、背中は自分で見ることができません。膝の裏もシワができやすい場所です。
そのため、スーツをハンガーにかけたときに、背中と膝の裏にシワがついていないかチェックすることが大切です。
最後は着丈の裾がヨレてしまっているかどうかです。オールシーズンのスーツは、通気性を良くするために背抜きになっていることが多いのですが、その分型崩れがしやすくなっています。
着丈の裾のヨレが目立つようであれば、寿命が来たため、そのスーツは着ない方が賢明です。
やってはいけない!寿命を縮める行為
スーツを長く使うためには気をつけるべきポイントがあります。ウールには、ハンガーにかけておくとシワが自然に伸びていく復元力があります。そのため、一度スーツを来たら休ませることが必要です。
ところが、毎日続けて同じスーツを着てしまうと、スーツが休む暇がなくなり、シワが戻らず、型崩れもしやすくなってしまいます。
1日スーツを着たら、最低1日、できれば2日以上は休ませるようにしましょう。毎日スーツを着終わったら、きちんとお手入れすることも必要です。
ハンガーにもかけずにスーツを放り出したままにしておくと、シワができて型崩れもしてしまいます。激しい運動もスーツの寿命を縮めてしまいます。
特に自転車通勤をする場合には、スーツのままで自転車に乗ると、股やお尻がテカってしまいやすいので、着替えを用意するなどの工夫が必要になります。
また、頻繁にクリーニングに出すことでもスーツの寿命は縮んでしまいます。
クリーニングによって繊維の油分が落ちすぎてハリが失われたり、強いプレスを受けることで生地が傷んだりするからです。
1週間分のスーツを用意して、ローテーションで着ていけば、スーツを休ませることができますし、クリーニングの頻度もシーズンに1回で足りるでしょう。
寿命を延ばす保管方法は?
スーツを長持ちさせるためには正しい方法で保管することが大切です。まず、スーツを着終わったら、必ずポケットの中身を出しましょう。
中身を入れたままにしておくと、型崩れやテカリの原因になってしまいます。
脱いだスーツをきちんとハンガーにかけることはもちろんですが、寿命を延ばすためにはハンガー選びも重要です。
ジャケットとスラックスを1つのハンガーにかけるのではなく、それぞれに合った別々のハンガーを選びましょう。
ジャケットをかけるハンガーは、肉厚で、肩のラインにあった丸みのあるものがベストです。スラックスは、挟んで吊るすタイプがおすすめです。
バーに掛けるタイプのものは、折りたたんだ部分がシワになってしまうことがあります。スーツを収納する前には、ブラシでほこりを落とすことも大切です。
ほこりが残っていると、虫食いの原因になります。クローゼットにハンガーをかける際には、スーツとスーツが接触しないように間隔をあけましょう。
間隔が空いていないとスーツ同士が擦れて傷んでしまったり、通気性が悪くなってカビが生えてしまったりします。
また、シーズンが終わってクリーニングに出したスーツは、クリーニングから帰ってきたら、そのままにしないで、ビニール袋から取り出しましょう。
ビニール袋に包んだままにしておくと、スーツの生地が呼吸できなくなってしまうので気を付けてください。
スーツの寿命を延ばすための配慮を忘れずに!
スーツの寿命を延ばすためには、スーツの寿命を縮める行為を避けること、きちんとした保管方法を取ることが重要です。
それだけでなく、着るだけで生地が伸びてしまうようなタイトなスーツは避けて、適度なゆとりがあるサイズのものを選びましょう。
また、スーツを休ませながらローテーションを組めるように、4~5着のスーツを揃えて、着回しするようにしましょう。
ジャケットよりもスラックスの方が痛みやすいので、ツーパンツにすることも工夫の一つです。
スーツは毎日の勝負服、寿命を延ばすための配慮を忘れずに、格好良く着こなしましょう。